骨董品
2026.10.19

親から受け継いだ懐中時計が動かず、メーカーに相談しても「部品がないので修理できません」と断られてしまった。そのような時計でも、部品を自社で作れる工房なら、再び動く可能性があります。
この記事では、アンティーク時計・懐中時計の修理に対応する工房を10社紹介し、選び方と依頼前の注意点を編集部が整理しました。
※本記事は編集部が各社の公開情報をもとに作成しています。掲載順は優劣を示すものではありません。
古い時計は部品の入手が難しく、新しい時計と同じ基準では工房を選べません。修理の内容や費用、依頼の流れ、保証の条件を順に確認すると、依頼後の食い違いを防げます。
オーバーホールとは、ムーブメントを分解し、部品ごとに洗浄と注油を行って組み直す作業です。見た目に問題がなくても、内部の油は年月とともに劣化するものです。
費用は、時計の種類や、交換・製作する部品の有無で変わります。分解して初めて分かる不具合もあるため、基本料金に含まれる作業の範囲を見積もりで確かめましょう。
メーカー修理は保有する部品や対応年式に限りがあり、古い時計は受付が終わっている場合があります。そうした時計の相談先は、部品を自社で加工できる独立系の工房です。
巻芯や天真を作り起こせる工房なら、既製の部品がない時計も直せる可能性があります。ただし、得意な年代や機構は工房ごとに異なるため、症状を伝えて具体的な回答を確かめましょう。
買い替えは動く時計を新たに手に入れることですが、修理は思い出のあるその一本を残すことです。形見の時計は同じものが手に入らないため、費用が購入価格を上回っても修理を選ぶ方がいます。
一方で、費用が見合わないと感じるなら、保管や買取という選択肢もあります。動かない状態でも評価される場合があるので、処分の前に専門家の見立てを聞いておきましょう。
一般的な流れは、相談と受付、状態の確認、見積もりの提示、了承後の作業、完了連絡の順です。持ち込みは症状を直接伝えられますが、予約制の工房もあるため、事前の連絡が欠かせません。
郵送は遠方からでも依頼できる反面、割れ物扱いの梱包や往復送料の確認が必要になります。出張に対応する工房は限られるため、持ち込みか郵送を前提に考えると進めやすいでしょう。
修理後の保証は、数か月から2年ほどと工房によって幅があり、対象を自然故障に限る例が多く見られます。落下や水の浸入による不具合、ゼンマイ切れ、部品の経年劣化による破損は、対象外となる場合があります。
掛け時計や置き時計、クォーツ、他店で購入した時計を受け付けない工房もあります。持ち込む前に、自分の時計が対象かどうかを確認しておきましょう。
ここからは、アンティーク時計や懐中時計の修理に対応する10社を紹介します。得意な年代や受付方法、現在の受付状況は各社で異なるため、依頼前に最新の状況を確かめてください。
公式サイト:https://tokeinobyoin.tokyo/
町田東急ツインズ・イーストと荻窪の2店舗で営業する時計修理専門店で、一級技能士が時計の状態を直接チェックします。機械式時計や電池式時計の分解掃除に加え、リューズや巻芯の修理、ガラス交換、バンドの調整まで幅広く受け付けています。他店で断られた古い時計(アンティーク時計)についても、多数の修理実績があります。ただし、一部条件付きの修理となるため、事前に相談しておきましょう。
こんな方におすすめ:東京都内の店舗で、一級技能士に古い時計を直接見てもらいたい方
公式サイト:https://oumiya-1938.jp/
1938年創業の時計修理専門の会社で、ロレックスやカルティエなど幅広いブランドを手がけています。本店には、3層式の超音波洗浄機や精度検査機、レーザー溶接機を備えた工房が併設されています。技術者の実績は、オーバーホールが年間約500本、部品の別作が約150個です。3〜4年に一度の定期メンテナンスを勧めており、電池交換などの軽修理は本店で当日に受け渡せます。
こんな方におすすめ:名古屋市内で、設備の整った工房に対面で相談したい方
公式サイト:http://luma-antique.com/index.html/
大阪の指定文化財である芝川ビルに店を構える、アンティーク懐中時計の専門店です。3針時計から、ミニッツリピーターやトゥールビヨンなどの超複雑時計まで対応できます。巻芯・天真・ケース・歯車の製作など、部品を作り起こす修理にも取り組んでいます。持ち主の希望を聞いてから作業するため、分解と注油のみのオーバーホールも選べます。一般的なメーカーの3針時計は、オーバーホール30,000円〜が一例です。
こんな方におすすめ:懐中時計を、複雑機構も含めて相談したい方
公式サイト:https://tamamushitokei.com/
1966年に創業した福岡・香椎の時計宝飾店で、機械式時計やアンティークの腕時計・懐中時計を専門にしています。宅配修理は、症状の連絡→時計の発送→到着後の見積もり→了承後の作業という流れです。納期は平均約30日、修理後は6か月間の保証が付きます。店舗と自宅に修理工房を設け、内部の状況を自ら把握して伝える方針です。ハミルトンやエルジンのアンティーク懐中時計は、税別23,000円〜が目安です。
こんな方におすすめ:福岡周辺の方や、郵送で見積もりから相談したい方
公式サイト:http://www.daiwatokeiten.co.jp/
2000年からアンティーク・ヴィンテージウォッチの販売と修理を中心とし、仕入れ・修理・販売を全て自社で行っています。オーバーホールでは全ての部品を分解し、研磨やサビ取り、ヒゲゼンマイの修正、部品の新規作製まで必要に応じて行います。組み上げ後は1週間前後のランニングテストで精度を微調整します。オーバーホール後は1年間の動作保証が付き、納期は約1.5か月が目安です。
こんな方におすすめ:工程を知って納得してから、腕時計や懐中時計を依頼したい方
公式サイト:http://www.ruchiklu.com/
京都市中京区のアンティーク時計専門店で、同店で購入した時計以外の修理も受け付けています。見積もりは無料で、遠方の方はモデル名と症状を連絡すると概算を案内してもらえます。他店購入品や長年メンテナンスしていない時計は、オーバーホールを前提に預かります。バブルバックや4桁のスポーツモデルなどのアンティークのロレックスと、音叉時計は受け付けていません。
こんな方におすすめ:受付条件を確かめた上で、国産や海外ブランドの古い腕時計を依頼したい方
公式サイト:http://www.ookuma-watch.com/
1970年に札幌市西区発寒で独立した時計眼鏡店で、代表は厚生労働省認定の1級時計技能士です。丁寧に分解して見積もりを出し、故障の原因を突き止めた上で、状況に応じた方法と適正な料金で修理します。分解掃除では、超音波洗浄機による5段階の洗浄と乾燥を行います。古い時計や製造メーカーによっては部品が手に入らないため、一度持ち込んでの相談を勧めています。なお、アンティーク時計は条件付きでの修理です。
こんな方におすすめ:札幌周辺で、現物を見てもらいながら相談したい方
公式サイト:http://www.horol.com/
1993年に創業した代官山の専門店で、店主が海外で仕入れた時計の販売と、各種腕時計の修理を行っています。修理は、オーバーホールを兼ねて進めることを原則としているのが特徴です。天真や巻芯、ウラオサエの新規製作、風防の別作にも対応しています。作業を進めないと分からない部分があるため、正確な見積もりは出さず、費用がかさむ場合は途中で連絡します。郵送する場合は、事前の問い合わせが必須です。
こんな方におすすめ:腕時計のオーバーホールと、部品の製作をまとめて相談したい方
公式サイト:https://www.tokeishurikobo-takumi.com/
名古屋・大須に店を構える腕時計の修理工房で、マイスター公認高級時計師(CMW)の資格取得者が常駐しています。依頼は宅配キットの注文から始まり、キットは送料無料で届きます。到着後1週間以内に正式な見積もりが出され、了承前にキャンセルしても、キャンセル料・送料はかかりません。修理後は1年間の保証が付きます。アンティーク時計や自社ムーブメント、特殊ムーブメントは別途見積もりとなります。
こんな方におすすめ:郵送で気軽に見積を取り、内容を確かめてから進めたい方
公式サイト:https://www.igimi.co.jp/
1930年創業の時計修理会社で、90年以上の歴史があり、135種類のブランドとアンティーク時計まで幅広く手がけています。部品の入手が難しい時計には新規製作を含めた修理方法を提案し、他店で断られた時計の相談にも応じています。全国からの宅配に対応し、梱包キットは無料で届きます。大阪四ツ橋店への持ち込みでは来店予約が必要で、その場ですぐに見積もりはできません。内装の修理は、茨城県の修理センターで行います。
こんな方におすすめ:全国どこからでも宅配で見積もりを取りたい方や、大阪で店舗に直接相談したい方
古い時計の修理は、依頼前の確認で満足度が大きく変わります。見積もり後の食い違いや発送時の行き違いを防ぐために、押さえておきたい3点を整理しました。
アンティーク時計の修理は、分解して初めて原因が分かるケースが少なくありません。部品の摩耗が進んでいたり、必要な部品を作れなかったりして、希望どおりに仕上がらない場合もあります。見積もりの時点で、追加費用が生じる条件や、作業途中の連絡の有無を確かめておきましょう。
工房ごとに、受け付ける年代や時計の種類、購入店の条件が異なります。休止中の受付や他店購入品の対象外といった条件を見落とすと、送った時計が返送になる場合があります。持ち込みや発送の前に、電話かメールで自分の時計が対象かを確かめておきましょう。
発送前に、傷や汚れ、文字盤の状態を写真に残しておくと、預かり時の認識違いを防げます。動かない時計の竜頭を無理に巻くと、内部の部品を傷める恐れがあるため、そのままの状態で預けましょう。梱包の方法や往復送料の負担は、工房の案内に沿って準備しておきます。
古い時計の修理では、直せるかどうかや期間、手放すかどうかなど、依頼前に迷う点がいくつかあります。ここでは代表的な5つの疑問に答えます。
部品を自社で製作できる工房なら、メーカーが断った時計でも直せる可能性があります。ただし、摩耗の程度や機構によっては、修理が難しい場合もあります。まずは症状や時計の情報を伝えて、工房の見立てを聞いてみましょう。
一般的には3〜5年に一度が目安とされています。時計の年代や使用状況によって適した時期は変わるため、古い時計ほど工房の見立てが欠かせません。普段から問題なく動いていても、内部の油は劣化していくので、定期的な点検を心がけましょう。
自己判断で竜頭を巻いたり、油をさしたりするのは控えましょう。動かない原因によっては、内部の部品を傷めて、修理が難しくなる恐れがあります。症状に気づいた時点で、そのままの状態で工房に見せてください。
通常のオーバーホールは1〜2か月ほどが目安となる工房もありますが、部品の調達や製作を伴う修理では、3〜6か月以上かかる場合があります。見積もりの提示までに、預かりから1〜2週間ほどかかる工房もあります。余裕をもって依頼し、受付や納期の最新の状況も確かめましょう。
「今後も使い続けたいか」を軸に考えるとよいでしょう。修理費用が思い入れに見合わないと感じるなら、買取に出す選択肢もあります。動かない状態でも評価される場合があるため、手放す前に専門業者へ相談してみてください。
アンティーク時計・懐中時計の修理では、部品製作への対応力と、受付条件・費用・保証の確認が欠かせません。この記事では5つのポイントとあわせて、10社を紹介しました。
まずは時計の症状と年代を整理し、気になる工房に見積もりを相談してみましょう。工房ごとに得意分野や受付状況が異なるため、複数社に問い合わせて比べると、納得のいく依頼先を選びやすくなります。
時計の中に骨董品・美術品が含まれる場合は、専門業者に相談することで価値を正しく評価してもらえる場合があります。だるま3では骨董品・美術品の査定を承っています。
この記事をシェアする
あなたにおすすめの記事
人気記事