骨董品
2026.10.19

実家の整理で、嫁入り道具だった桐箪笥や古い和家具が出てきたものの、黒ずみや板割れが目立ち、直せるのか迷う場面は少なくありません。桐箪笥は削り直しや修理で再生できるため、思い出の品を引き継ぐ選択肢があります。
この記事では、桐箪笥・和家具の修理・再生に対応する工房10社を紹介し、選ぶポイントや依頼前の注意点を解説します。
※本記事は編集部が各社の公開情報をもとに作成しています。掲載順は優劣を示すものではありません。
桐箪笥の修理は、一般的な家具の修理と作業の中身が異なります。削り直しなどの修理の種類、直すか手放すかの判断、費用、依頼の流れ、対応エリアの5点を押さえると、工房ごとの違いを比べやすくなります。
削り直し(更生)は、表面をかんなで薄く削り、傷や汚れを取って木肌を整える作業です。塗り直しは、削った後に砥の粉などで色と艶を整える仕上げの工程を指します。
金具交換は、傷んだ取っ手や蝶番を新しいものに替える作業で、磨いて再利用できる場合もあります。削れる回数には限りがあるため、削る量を抑える工房かどうかも確認しましょう。
新品への買い替えは、サイズやデザインを自由に選べる点が利点です。一方の修理は、母や祖母から受け継いだ一棹を、思い出ごと使い続けられる点に価値があります。
桐は湿度を調整する性質を持ち、古い桐材でも傷みを直せば収納家具として使えます。ただし、虫食いが広範囲に及ぶと再生できない場合もあるため、処分の前に写真で診断を受けましょう。
修理費用は、箪笥の大きさ、傷み具合、仕上げの種類、金具の扱いによって変わります。そのため、多くの工房が「基本料金」や「目安」で示しており、含まれる作業の範囲を見比べることが欠かせません。
虫食いによる板の張り替えや台輪(箪笥の土台)の製作、金具の交換、送料は、追加になる場合があります。見積もりの段階で、追加費用が出る条件と金額が決まる時期を確認しておきましょう。
依頼は、箪笥全体の写真と寸法を送って、概算の見積もりを受けるところから始まります。その後は、職人が訪問して見積もりを行う、工房が引き取りに来る、運送会社を手配して郵送する、自分で持ち込む、といった方法に分かれます。
近隣は自社便、遠方は運送会社という工房が目立ちます。立ち会いの要否や支払いの時期は工房ごとに異なるため、依頼前に確認しましょう。
自宅から工房までの距離は、送料や日程に直結します。送料が無料になる範囲を設けている工房もあれば、全国対応でも送料は別という工房もあります。
新築や建て替えに合わせて、長期間預かってもらえるかも確認したい点です。納期が半年以上になる場合もあるため、使い始めたい時期から逆算して、早めに相談しましょう。
ここからは、桐箪笥・和家具の修理・再生に対応する工房を10社紹介します。所在地や対応エリア、修理の進め方に違いがあるため、お住まいの地域や希望する仕上がりに合わせて比べてみましょう。
公式サイト:https://soma-reform.com/
春日部桐箪笥の伝統工芸士が、引き取りからお届けまで一貫して担当する工房です。修理前に100度の熱湯で内部と外部を洗い、傷を浮かせるため、かんなで削る量を最小限に抑えられます。カビは洗うだけでは落ちないため削って取り除き、また虫穴の修理にも対応しています。見積もりは写真をメールかLINEで送って依頼後、折り返しの電話で詳細を確認し、最終打ち合わせを経て料金が確定する流れです。
こんな方におすすめ:カビや虫穴が気になる桐箪笥を、洗いから一貫して任せたい方
公式サイト:http://www.kiritansu.co.jp/
1912年創業で、宮内庁ご用達を掲げる桐箪笥専門店です。東京・四谷に本店ショールームを構え、更生は伝統工芸士や一級技能士が手がけます。金具の脱着、洗い、削り、締め直し、仕上げ、引き出し調整までが基本料金に含まれます。時代仕上げは加算となり、自社へ持ち込む場合は割引が適用されます。飾り棚や茶箪笥、鏡台といった和家具も、製作・修理に対応しています。
こんな方におすすめ:桐箪笥と和家具を、まとめて相談したい方
公式サイト:https://www.sancho-kagu.jp/
1964年に愛知県あま市で創業した、総桐箪笥の製造元が手がける洗い修理再生です。お湯をかけてたわしで手洗いし、日光と自然乾燥で乾かしてから、板割れの修理とかんな削りに進みます。愛知県・岐阜県・三重県は工房が預かりに伺い、その他の地域ではインターネットでの受け付けです。作業日数は約2か月で、作業中に思わぬ事態が起きても、追加料金は取りません。三つ重ねの桐箪笥をチェストにするリメイクにも対応しています。
こんな方におすすめ:東海3県で、訪問見積もりから相談したい方
公式サイト:https://www.1kirizo.com/
桐箪笥の産地である新潟県加茂市で、3代続く工房です。1999年に古箪笥再生事業部を設立し、修理・再生・リフォーム・リメイクを受け付けています。仕上げは砥の粉のほか、水拭きできる天然オイル塗装も選べ、金具の交換費用は修理料金に含まれます。引き取りは専門業者が行うため、中身を出しておけば、搬出の手間はかかりません。新築やリフォーム中は最長2年間無料で保管し、長期の場合は先に修理料金の半額を入金します。
こんな方におすすめ:家の建て替え中の預かりや、リメイクも相談したい方
公式サイト:https://www.tomekawa.com/
1912年から4代にわたり桐箪笥を製造してきた、大阪府岸和田市の会社です。洗い替えは金具外し→洗い→破損修理→かんながけ→色付け→金具付けの順に進み、製造元が直接手がけるため中間マージンは発生しません。破損箇所が多くても料金は加算されず、新品の金具やメッキを使う場合に追加費用がかかります。近畿圏内は引き取りとお届けの料金がかからず、近畿圏外は提携の配送業者が対応するため別途送料が発生します。
こんな方におすすめ:関西在住の方、関東などから配送で依頼したい方
公式サイト:http://www.kirikoubou.com/
福岡県大川市に工房を構える、1912年創業の桐箪笥専門の製造元です。修理は、古金具を外して漂白し、熱湯で洗って天日で乾かし、ノミやかんなで補修します。仕上げは、昔ながらの砥粉仕上げ、焼き桐仕上げ、天然オイル仕上げから選べます。大きな箪笥を切り分けて小さくしたり、洋風にアレンジしたりするリメイクにも対応しています。福岡県の「まちの修理屋さん」に認定されており、見積もりは無料です。
こんな方におすすめ:仕上げを選びながら、サイズ変更も検討している方
公式サイト:https://someya-tansu.com/
1918年に栃木県鹿沼市で創業し、栃木県伝統工芸士が店舗責任者を務めます。小袖箪笥や整理箪笥など、箪笥の種類とサイズ別に修理価格表を載せています。仕上げはヤシャ仕上げ、オイル仕上げ、柿渋仕上げから選べます。栃木県内と近県は職人が無料で見積もりに伺い、遠方はヤマト運輸の家財便で預かります。家の新築やリフォーム中の、半年〜1年ほどの預かりにも、無料で応じています。
こんな方におすすめ:料金表を見ながら、関東や福島県で依頼先を検討したい方に向いています。
公式サイト:http://www.sugiyamatansu.com/
岐阜県関市で、4代にわたり桐箪笥の修理を「箪笥の洗濯」として手がけている箪笥店です。桐箪笥のほか、時代箪笥、水屋戸棚などの修理や、漆塗りにも対応しています。「タンスの修理日記」で、依頼した箪笥の修理状況を日々確認できます。見積もりは写真で出し、箪笥の状態やサイズによって金額が変わります。引き出し前面に虫食いがある場合は、桐柾板の貼替による追加費用が加わります。
こんな方におすすめ:桐以外の古い箪笥や水屋戸棚も、まとめて相談したい方
公式サイト:http://www.kirisaisei-ooishi.com/
三重県伊賀市で、国産の桐材を使い、洗い・修理・再生を行う工房です。隙間やがたつきを直して気密性を回復する木地修理と、砥の粉とロウによる自然素材の塗装を重視しています。仕上げは、とのこ仕上げ・時代仕上げ・オイル仕上げの3種類で、色も豊富に揃っています。料金は箪笥の大きさや傷み具合、お届け先で変わり、往復送料込みで案内しています。国の伝統的工芸品である伊賀くみひもの房や、鉄脚を取り入れたアレンジも提案しています。
こんな方におすすめ:色や金物を選んで、自分好みに仕上げたい方
公式サイト:http://www.edolife.net/
さいたま市緑区の工場で、家具職人が相談から加工まで担当する家具店です。事業内容は、家具の製作・修理、桐箪笥のアップサイクル、家具のリメイクです。婚礼家具のサイズ変更や、江戸時代のものと見られる行商箪笥の修理など、修理事例を幅広く公開しています。相談はLINE・電話・問い合わせフォームから行い、見積もりと相談は無料、遠方からは大手宅配サービスで家具を送れます。工場は刃物を使った機械作業を行うため、来訪は予約制です。
こんな方におすすめ:桐箪笥を、現代の暮らしに合う家具へ作り替えたい方
工房を選んだ後は、依頼時の確認が満足度を左右します。見積もりの取り方、追加費用の条件、納期や支払い方法の3点は、後から食い違いが起きやすい部分のため、あらかじめ押さえておきましょう。
箪笥全体、傷みの目立つ部分、引き出しの前板や裏板の写真と、間口・奥行・高さの寸法を用意します。情報が多いほど、見積もりの精度は高まります。ただし、写真に写らない虫食いや破損があると、現物を見た段階で金額が変わる場合があります。
虫食いによる板の張り替え、台輪の新規製作、金具の交換やメッキ直しは、基本料金とは別に費用が加わる場合があります。一方、引き取り時に金額を確定し、その後の追加料金を設けない工房もあります。見積もりの際は、どの作業が含まれ、いつ金額が確定するのかを聞いておきましょう。
人気の工房では、納期が数か月から半年以上になる場合があります。支払いも、代金引換、納品後の振込、現金払いなど工房ごとに異なり、クレジットカードを使えない工房もあります。価格や納期は時期によって変わるため、最新の内容を各社に確認しましょう。
桐箪笥・和家具の修理を考え始めると、修理の可否、費用、期間、遠方への依頼、桐以外の家具への対応といった疑問が浮かびます。ここでは、この5つの疑問に、一般的な考え方を整理して回答します。
板割れや傷であれば、埋め木や張り替えで直せるケースは多くあります。一方、虫食いが全体に及ぶ場合は、修理や再生の範囲に限りが出ることもあります。まずは写真を送り、職人に状態を診断してもらいましょう。
費用は、大きさ、傷み具合、仕上げ、金具の扱いで変わります。工房ごとに基本料金へ含まれる作業が異なるため、金額だけでなく内容も見比べることが欠かせません。2〜3社に見積もりを依頼し、追加費用の条件まで比べると、判断しやすくなります。
期間は工房によって異なり、2か月ほどの工房もあれば、半年以上かかる場合もあります。時期による混み具合の影響も受けるため、依頼のタイミングで納期は変わります。新築や引っ越しの予定がある場合は、早めに納期を確認しましょう。
郵送や運送会社の手配によって、遠方からの依頼を受け付ける工房は複数あります。ただし、送料の扱いは工房ごとに違い、往復で別途かかる場合もあります。見積もりの際に、往復の送料まで含めた総額を確認しましょう。
桐以外の和家具は、工房によって対応が分かれます。茶箪笥、水屋戸棚、帳場箪笥、座卓などに対応する工房もあるため、家具の種類と写真を伝えて、可否を確かめましょう。仕上げ方法や費用は、桐箪笥と異なる場合もあります。
桐箪笥・和家具の修理は、修理内容の違い、直すか手放すかの判断、費用、依頼の流れ、対応エリアの5点を押さえると、納得して工房を選べます。思い入れのある一棹を長く使い続けるためにも、納期を見込んで早めに相談するのがおすすめです。
また、箪笥や和家具の中に骨董品・美術品が含まれる場合は、専門業者に相談することで価値を正しく評価してもらえる場合があります。だるま3では骨董品・美術品の査定を承っています。
この記事をシェアする
あなたにおすすめの記事
人気記事