骨董品
2026.09.29

相続や引っ越しで絵画や掛軸を運ぶ必要が出てきたものの、一般の引っ越し業者に断られた経験はないでしょうか。美術品や骨董品は、温湿度や振動への配慮、専用の梱包資材など、通常の家財輸送とは異なる技術が求められます。
この記事では、輸送・梱包に対応できる業者を9社紹介し、選び方や依頼前の注意点も整理しました。
※本記事は編集部が各社の公開情報をもとに作成しています。掲載順は優劣を示すものではありません。
美術品輸送は、一般の引っ越し業者と違い、価格の安さだけで選び方を決められない分野です。作品の価値を守るためには、費用に加えて技術力や体制面もあわせて確認する必要があります。ここでは、依頼前にチェックしておきたい5つの視点を紹介します。
一般貨物の輸送と美術品輸送では、求められる技術がまったく異なります。展覧会や個展、公募展への搬入出実績があるか、美術館・画廊からの依頼実績があるかは、専門性を測る目安になります。創業年数や取扱品目も確認しておくと安心です。
絵画、彫刻、陶器、掛軸、屏風など、美術品には多様な種類があります。大型の彫刻や重量物、小さく繊細な陶磁器など、依頼したい作品に業者が対応できるかを事前に確認しましょう。対応可能なサイズの上限や専用車両の有無は業者によって差があります。
一般的な引っ越し業者の運送保険は、家財全般を対象とした一律の補償額であることが多く、一点ものの価値を反映しづらい仕組みです。
美術品輸送の専門業者では、作品ごとの評価額に応じて保険加入を相談できる場合があります。補償の範囲や上限額を、書面やメールで確認しておくと、トラブルを避けやすくなります。
家具や家電の梱包は緩衝材とダンボールが中心ですが、絵画・彫刻・陶器・掛軸は素材や形状がひとつずつ異なります。
専門業者は作品のサイズや材質に合わせて木箱や輸送箱を製作し、エアサス搭載車両で振動を抑えたり、温湿度を一定に保てる専用倉庫で保管したりする体制を整えています。海外輸送用のクレート梱包に対応しているかも確認しておきましょう。
全国対応が可能な業者もあれば、特定の地域を中心にサービスを展開している業者もあります。搬入先が美術館や画廊など特定の会場である場合、その会場への搬入実績があるかも安心材料です。地方からの出品代行に対応しているかも確認しましょう。
絵画や骨董品を運ぶ・整理する場合、どこに相談するかで対応の幅が変わります。相続整理や引っ越し、展示会出品に対応している業者を9社紹介します。
公式サイト:https://www.yachuda.co.jp/
大正15年(1926年)創業という、長い歴史を持つ美術品専門の運送会社です。絵画・彫刻・工芸美術・書などの梱包運輸に加え、展覧会の搬入出や陳列展示、個展開催業務まで手がけています。日展や光風会展をはじめ、多数の公募団体展の指定業者です。東京都美術館や国立新美術館への搬入出代行にも対応しています。関東運輸局の許可を得た緑ナンバー車両を保有し、2t車から11t大型車までそろえている点も強みです。
こんな方におすすめ:公募展への出品を控えている方、東京都内の美術館・画廊への搬入出を依頼したい方
公式サイト:https://h-and-a.co.jp/
展覧会の開催・運営を総合的に支援する会社で、東京と大阪の2拠点でサービスを提供しています。公募展搬入出代行サービスに加え、個展・グループ展の作品輸送、展示・撤去作業まで幅広く対応しています。個人の作家向けには、梱包材の到着から集荷・搬入・搬出・返却までを一括で任せられる独自の輸送サービスがあります。レンタル額縁や作品保管サービス、海外輸送のサポートも用意されています。
こんな方におすすめ:個展・グループ展の輸送を一括で任せたい方、関西エリアでの展示会準備を検討している方
公式サイト:https://kkmarutake.main.jp/
昭和43年(1968年)創業、半世紀以上にわたり美術品輸送を専門に行ってきた会社です。京都を拠点として、東京から九州まで、一般荷物との積み合わせを行わない体制で配達しています。絵画は0号から300号までの大型作品にも対応しています。掛軸や屏風、陶器、茶道具、仏像など、骨董品に多く見られる品目の輸送実績もあります。風呂敷や緩衝材を用いた簡易梱包から厳重梱包まで、依頼内容に応じた対応が可能です。
こんな方におすすめ:掛軸・屏風・茶道具など和の骨董品を運びたい方、関西から遠方への輸送を検討している方
公式サイト:http://www.tokyo-marui-art.jp/
昭和17年(1942年)に京都でマルイ梱包店として創業し、80年以上の歴史を持つ美術品専門運送会社です。国宝・重要文化財をはじめとする美術作品に対し、材質や大きさ、保管状態、会場の状況を踏まえて梱包方法を選定しています。依頼された美術品ごとに専用ケースを一つひとつ設計・製作する、外注に頼らない自社完結型の梱包が特徴です。京都のグループ会社を通じて、公募展覧会の出陳品輸送や海外発送業務にも対応しています。
こんな方におすすめ:国宝・重要文化財クラスの取扱実績を重視したい方、作品ごとに専用の梱包ケースを希望する方
公式サイト:http://nichi-b.com/
昭和22年(1947年)創業、70年以上にわたり美術品の輸送・梱包・展示を手がけてきた老舗企業です。公募展の搬入・搬出代行、企画展・個展のサポート、公募展関連業務まで幅広く対応しています。東京都美術館や国立新美術館といった、主要美術館での展覧会業務に長年携わっています。明治期の帝室博物館の開館当初から美術館・展覧会に関わってきた歴史を持つ会社です。
こんな方におすすめ:東京都内の主要美術館での展覧会出品を控えている方、老舗の実績を重視したい方
公式サイト:https://www.akabou-hanamaruko.jp/
赤帽のネットワークに所属しながら、美術品輸送を専門メニューとして掲げている運送店です。絵画・彫刻など美術作品の輸送に加え、個展・グループ展の搬入出、公募展への出品代行まで対応しています。ハイルーフ仕様の車両を使用し、制限外積載許可により最大200cm、F150号までの大型絵画を積載可能です。防振エアサスパレット搭載車両もあり、精密な作品への振動対策にも配慮されています。完全貸切のチャーター便のため、混載によるリスクがありません。
こんな方におすすめ:大型の絵画作品を輸送したい方、東京多摩地域から荷物を出したい方
公式サイト:https://terrada-art-assist.co.jp/ja/
寺田倉庫グループの一員として2016年に設立され、美術品の保管技術を土台に輸送・展示・梱包までを一貫して手がけています。国内だけでなく、海外への発送にも対応しているのが特徴です。クレートの作成や額装、保存箱の製作まで自社で完結できる体制を整えています。作業を担うアシスタントの派遣や、輸送に伴う保険の取り扱いにも対応しており、美術品梱包輸送技能取得士も在籍しています。保管施設は温度20℃・湿度50%に管理され、修復工房も併設されています。
こんな方におすすめ:輸送だけでなく保管・修復まで含めて相談したい方、海外への美術品輸送を検討している方
公式サイト:https://akabou-emaru.com/
八王子を拠点に法人向けの配送を手がける業者で、絵画や楽器を含む美術品の輸送に対応しています。案件ごとに車両を貸し切るチャーター便が基本のため、彫刻や骨董品など扱いに注意が必要な荷物にも柔軟に対応できます。緊急時は24時間体制で対応するほか、長距離輸送や一定期間の定期便としての契約も可能です。単発の依頼だけでなく、継続的に作品を運びたい法人からの利用にも向いています。
こんな方におすすめ:急な美術品輸送が必要な方、法人として定期的な作品輸送を検討している方
公式サイト:https://musashit.co.jp/
昭和44年(1969年)創業、もともと精密機械や重量機械の輸送を専門としてきた会社で、その技術を美術品や高級家具の輸送にも広げています。梱包から据付作業、倉庫保管まで一貫して請け負っており、ブロンズ像などの彫刻作品を木枠で梱包した実績もあります。車両にはエアサスを標準装備し、振動を抑えながら運搬できるほか、温湿度を管理できる倉庫も備えています。精密機械輸送で培った木枠梱包・防振梱包・真空バリヤ梱包の技術を、美術品輸送にも生かしている点が特徴です。
こんな方におすすめ:彫刻など重量のある立体作品を運びたい方、精密機械に準じた丁寧な梱包を希望する方
業者選びと同じくらい重要なのが、依頼前の準備と確認です。見落としがちな3つの注意点を紹介します。
輸送前には、作品の状態を写真に残しておくことをおすすめします。トラブルが起きた際、事前の記録があるとやり取りがスムーズです。依頼者自身でも記録を残しておくと安心です。
高額な作品や思い入れのある品は、輸送保険への加入を検討しましょう。基本的な補償が含まれる場合もありますが、上限額が低いこともあります。評価額に応じた保険内容か、契約前に確認しておきたいポイントです。
美術品輸送の料金は、サイズ・重量・輸送距離・梱包方法によって変動します。業者によって見積もりの内訳や対応範囲が異なるため、複数社から見積もりを取り、内容を比較検討することをおすすめします。
はい、掛軸・屏風・陶器・仏像といった骨董品も、多くの美術品輸送業者で対応しています。著しく劣化している品は、事前に業者へ相談し、対応可否を確認しておくとよいでしょう。
多くの業者は個展や公募展への出品を主な対象としていますが、個人の引っ越しに対応している業者もあります。依頼内容が個人利用かどうかを事前に伝え、確認しましょう。
多くの業者で見積もり自体は無料ですが、詳細な見積もりには作品のサイズ・重量・輸送距離の情報が必要です。写真や寸法を用意したうえで問い合わせるとスムーズです。
業者によっては、梱包のみの依頼や、自身で梱包した作品の輸送のみの依頼に対応しています。フルサポートか一部の作業のみかで、選ぶべき業者が変わります。
海外輸送用のクレート作成や通関手続きの代行まで対応している業者もあります。正確なサイズ・重量・届け先を用意し、対応可能な業者に相談しましょう。
美術品・骨董品の輸送・梱包を依頼する際は、専門の実績や対応品目、保険や補償の内容、梱包・保管設備、対応エリアという5つのポイントを確認することが大切です。依頼前には状態の写真記録を残し、複数社から見積もりを取って比較検討しましょう。
相続整理などで出てきた品物の中に骨董品・美術品が含まれる場合は、専門業者に相談することで価値を正しく評価してもらえる場合があります。だるま3では骨董品・美術品の査定を承っています。
この記事をシェアする
あなたにおすすめの記事
人気記事