骨董品
2026.10.28

祖母や母から受け継いだ雛人形や日本人形を飾ろうとして、お顔の汚れや髪の乱れ、衣装の傷みに気づく方は少なくありません。「どこに頼めば安心なのか」「修理よりも買い替えたほうがよいのだろうか」と迷っている方も、多いのではないでしょうか。
本記事では、日本人形・雛人形の修理に対応する工房を10社紹介するとともに、工房選びのポイントと依頼前の注意点をまとめました。
※本記事は編集部が各社の公開情報をもとに作成しています。掲載順は優劣を示すものではありません。
修理工房は、人形の種類や傷みの状態、受付方法によって向き不向きが分かれる点に注意が必要です。ここでは、依頼先を比べる前に押さえておきたい基本の判断軸を、費用や依頼の流れも含めて解説します。
修理は、今ある人形の傷んだ箇所を補修する方法です。状態によっては、お顔や衣装、部品の交換を伴う場合もあります。
買い替えは新しい人形を購入することです。人形供養は、手放す人形に感謝を込め、寺社などで供養してもらう方法で、郵送による代行サービスもあります。
飾り続けたいなら修理、手放すなら供養と、目的によって選ぶ手段が変わる点が大きな違いです。修理が難しい人形は、供養へ切り替える選択肢もあります。
人形の傷みは、お顔・髪・衣装のどこに出るかで、必要な修理が異なります。
お顔の修理には、汚れ落とし、欠けの補修、胡粉の塗り直し、交換などがあります。髪の修理には、乱れ直し、結い直し、植え替えなどがあり、状態によって対応方法が異なります。
衣装は、虫食いやシミへの対応から、着物の取り替えや新調まで、修理の範囲が広がります。各工房の修理事例に、自分の人形と近い傷みがあるかどうかが、候補を絞る目安です。
修理費用は、人形の種類や大きさ、傷みの程度によって、一体ごとに変わります。同じお顔の修理でも、汚れ落としと塗り直しでは、作業量が大きく異なるのが実情です。
また、消費税や往復の送料、梱包料が別途かかる場合もあるため、総額で考えましょう。予算に上限がある場合は相談時に伝え、希望する修理の範囲と費用を確認しましょう。
受付方法は依頼先によって異なり、店頭への持ち込みと配送の両方に対応する場合もあれば、配送のみの場合もあります。持ち込みでも、その場で職人による診断や見積もりを受けられるとは限らないため、事前に確認しましょう。
配送で依頼する場合は、送料の負担と梱包方法を確認します。出張対応を希望する場合は、対応地域に加え、訪問先で修理するのか、引き取りのみなのかを依頼先に確認する必要があります。
依頼先の案内に従って申し込み、必要に応じて写真の送付や現物の持ち込み・発送を行います。見積もりと納期、支払条件に同意した上で修理を進め、完了後に返送または店頭で受け取ります。
雛人形、五月人形、市松人形、洋人形など、工房によって得意な人形が異なります。洋人形と胡粉で仕上げる日本人形とでは、材料や技法も異なるため、対応品目は事前に調べておきたい項目です。
さらに、修理後の保証期間や、不具合が出た際の再修理の条件を設けている工房もあります。保証の有無や範囲は、工房ごとに異なるため、見積もりの相談時に尋ねておくのが要点です。
工房ごとに、修理の受付方法や得意とする人形の種類には差があるため、違いを知ることが大切です。ここでは、各社の特徴を、所在地や対応エリアと合わせて紹介します。
公式サイト:https://oote.jp/
人形職人の店主により、人形に残る思い出や愛着を損なわないよう、修理箇所を最小限にとどめて作業してもらえます。相談は電話とメールで受け付けており、メールに写真を添付すると、精度の高い見積もりを受け取れるのが利点です。修理品は宅急便か郵便小包で送れるほか、名古屋市内と愛知県内であれば預かりに伺う出張取き引りも選べます。
こんな方におすすめ:愛知県周辺で、出張での預かりを希望する方
公式サイト:https://asuka-doll.com/
国指定の伝統工芸士の五代目と、埼玉県指定の伝統工芸士の六代目が、江戸雛の技法を受け継いで雛人形を作ります。製造工房としてアフターフォローにも取り組み、お人形の修理は、店舗のスタッフに相談する形です。また、お手持ちの帯や着物の生地で、お雛さまの衣装を仕立てる「今昔ものがたり」も手がけています。
こんな方におすすめ:製造元の工房に、修理を相談したい方
公式サイト:https://sone8.jp/
原米洲の人形を代々扱う人形店で、髪の崩れや破損、衣装の汚れといった雛人形の修復とクリーニングを行います。修復の可否は、人形の種類や状態を見て返答する流れで、電話またはフォームで相談できます。このほか、五段飾りをお内裏様とお雛様のみ残して新しいケースに入れる、コンパクトな模様替えも相談できます。ただし、お顔に傷が付いた場合は、お顔の交換になる点と、他店で購入した人形は再現に限度がある点に注意が必要です。
こんな方におすすめ:他店で購入した雛人形の修復や、大きな雛人形の模様替えを相談したい方
公式サイト:https://k-doll.co.jp/
制作工房に節句人形工芸士が常駐しており、他店で購入した人形も修理を受け付けます。ただし、人形の作り方によっては受けられない場合もあります。相談はLINEが中心で、修理したい箇所の写真を送ると職人から案内が届くため、遠方でも配送で修理を依頼できる流れです。髪の結い直しやお顔のシミ除去、欠けの復元、裳袴や玉串の交換、ケースの修理など、幅広い修理実績を持っています。
こんな方におすすめ:他店で購入した人形や遠方にある人形を、LINEで気軽に相談したい方
公式サイト:http://www.mikotobina.com/
静岡県の富士市で、雛人形と五月人形を扱うメーカー直営の店舗で、三島店にも店舗を持ちます。「修理・リニューアル相談」の窓口があり、LINE・メール・電話で修理やリニューアルについて相談できます。製造・販売も行っており、国産の限定品やコンパクトで上質な人形を揃えています。お顔は50種類以上から選べ、お衣装や飾り台、屏風も好みに合わせて選べるため、1点からのオーダーも可能です。
こんな方におすすめ:静岡県内で、人形のリニューアルを気軽に相談したい方
公式サイト:http://fukuda-shoan.happytry.org/
一級人形修理技能士が代表を務める工房です。扇子や冠、太刀などの付属品を紛失した場合も、修理や新調の中から人形に合う方法を選べるのが強みです。相談は電話・メール・LINEで受け付けており、写真を送ると概算の費用や納期の案内が届き、現物の確認後に正式な見積もりが出ます。このほか、人形供養の代行にも対応しており、修理費用が3万円以上の場合は成約時に10%の手付金が必要です。
こんな方におすすめ:写真で相談してから、発送や出張で依頼したい方
公式サイト:https://www.hakataningyou.com/
三代目店主が営む博多人形の専門店で、素焼きの土の温かみを生かした作品を揃えています。修理を相談する際は、全体の写真と修理が必要な箇所の写真をメールに添付すると、可否や期間、費用の目安の連絡を受けられる流れです。修理は、破損部分の接合や目立つ汚れの修復を行い、再び飾れる状態に整える考え方です。修復が難しい場合は、人形供養寺での供養に対応します。
こんな方におすすめ:割れてしまった博多人形を、写真で相談したい方
公式サイト:https://www.aou-ningyou.com/
あおう人形は愛知県で唯一、伝統工芸褒賞を受賞した節句人形の専門工房です。本店内の穂洲工房に、2名の職人が在籍します。髪の乱れや殿冠の修理、陣屋提灯の張り替え、七段飾りを親王飾りに変えるリメイクなど、豊富な実績があります。修理は現物の持参が基本で、遠方の場合は事前に電話で相談した上で宅配便を使う流れです。修理期間は、案件ごとに1週間〜1年以上までと幅があります。
こんな方におすすめ:愛知県内で、職人と直接話しながら修理を相談したい方
公式サイト:http://www.suzuki-ningyo.com/
岩槻の人形工房「鈴木人形」は、「鈴木人形 文化財修復センター」を運営しています。人形の個性や味わいを損なわない修理を基本に、日本全国・世界各国から年間400体以上の依頼を受けているのが特徴です。申し込みフォームの送信後に現物を送ると、検証を経て見積もりが届くため、写真や電話だけで金額を知ることはできません。見積もりの案内までに、7日〜14日ほどかかるのが目安です。納品後1か月以内に、木彫や桐塑の古い人形へひび割れが生じた場合は、無償で再修理を受けられます。
こんな方におすすめ:雛人形から洋人形まで、幅広い人形をまとめて発送で相談したい方
公式サイト:http://www.yachiyo-ningyo.com/
八千代人形は、府中大國魂神社に近い府中市八幡町の人形専門店です。雛人形や五月人形、鯉のぼり、羽子板、破魔弓などを取り扱っています。人形の修理の相談は随時受け付けており、人形選びや飾り方、お節句の祝い方も、同じ店頭で相談できるのが利点です。雛人形は、お顔やお飾りを好みに合わせて組み替えられるほか、希望があれば自宅に伺って飾り方をサポートする対応も行っています。
こんな方におすすめ:多摩地区で、店頭で顔を合わせながら修理を相談したい方
依頼前には、仕上がりの考え方や依頼の条件について、工房との認識がずれやすい点に注意が必要です。ここでは、見積もりを頼む前に押さえておきたい内容を取り上げます。
人形修理は、新品の状態に戻す作業ではなく、傷んだ部分を補って再び飾れる姿に整える作業です。お顔は、補修に用いる胡粉などの材料によって、元の部分と色合いが異なる場合があります。
衣装を交換・新調する場合も、元と同じ生地を用意できず、色柄や雰囲気が変わることがあります。どこまで手を入れるかは、修理前に工房と話し合っておくことが重要です。
生産が終了した人形や古い人形は、同じ材料・部品を用意できず、修理や交換ができない場合があります。購入からの経過年数による受付条件は、依頼先ごとに確認しましょう。
また、御殿飾りは部品の調達状況によって修理できない場合があります。人形本体についても、破損や劣化が激しい場合や、修理によって価値を損なうおそれがある場合には、依頼を断られることがあります。
修理の可否の判断方法と、不可だった際の返送料の負担を、依頼前に尋ねておきましょう。
依頼先によっては、人形の所有者本人からの申し込みに限る場合があります。また、見積もり後や作業開始後にキャンセルできるか、費用が発生するかも事前に確認しましょう。
さらに、修理後の状態確認の期限や、無償で再修理を受けられる条件は、依頼先によって異なります。対象となる不具合、申出期限、送料の負担を事前に確認しましょう。条件は、書面やメールで確かめておくのが、行き違いを防ぐ備えです。
日本人形・雛人形の修理を検討する際には、判断の基準や期間、保管方法など、さまざまな疑問が生じるのは自然なことです。ここでは、依頼前によく挙がる質問に回答します。
思い出や愛着のある人形を飾り続けたい場合は、修理を検討できます。ただし、状態によっては部材の交換が必要になるため、残したいお顔や衣装がある場合は、相談時に伝えましょう。
傷みが大きい場合は、修理の見積もりと新しい人形の価格を見比べて、予算に合う方を選ぶ方法も有効です。まずは、工房に相談して、修理費用の目安を把握しましょう。
写真で概算を案内する工房もあれば、現物を検証してからでなければ見積もりを出さない工房もあります。概算を受け取った場合でも、正式な金額は、現物の確認後に決まるのが一般的です。
相談の際は、人形全体の写真と、傷んだ箇所の写真を用意しましょう。
修理期間は、人形の状態や依頼の時期によって異なり、1週間で戻る場合もあれば、1年以上かかる場合もあります。特に、お顔や御殿飾りの修理は、半年から1年以上かかる場合がある点に注意が必要です。
飾りたい時期が決まっている場合は、相談時に、希望の納期を伝えておきましょう。
購入店を問わず受け付ける工房もあれば、自店で購入した人形を対象にする工房もあります。他店で購入した人形は、状態や部品の入手しやすさによって、修理の可否が分かれる点に注意が必要です。
購入店が営業している場合は、まず購入店にも、受付の可否を尋ねておきましょう。
修理後の人形は、工房から指定された保管方法があれば、それに従いましょう。一般には、湿気が多い場所や極端に乾燥する場所を避けて保管し、片付けは晴れて空気が乾いた日に行います。
箱に入れる前には、毛ばたきや柔らかい筆などで、ほこりをやさしく払いましょう。防虫剤は、人形に使える製品を選び、使用量や使用方法を確認しましょう。人形や道具に直接触れさせず、樹脂製の部品がある場合は、成分による変形などに注意が必要です。
日本人形・雛人形の修理では、修理と買い替え・供養の違いを理解し、人形の種類に合う工房を選ぶことが大切です。費用の考え方や依頼方法を整理し、受付条件を事前に尋ねておけば、依頼後の行き違いを防げます。
傷んだ箇所の写真を用意しておけば、修理箇所や予算が未定でも、見積もりの相談を始められる点が手軽です。大切な人形を次の世代へつなぐために、条件の合う工房へ、まずは問い合わせてみましょう。だるま3では、骨董品・美術品の査定を承っています。
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