
着物・織物
2025.08.14
着物の価値は、種類や作家、素材などの要素に加え、**「状態」**によって大きく左右されます。
同じ作家物や高級反物であっても、シミや汚れ、虫食い、カビがあるだけで査定額は数割以上下がることも少なくありません。しかし、「状態が悪い=売れない」というわけではなく、中には高値がつくケースや別の活用方法がある着物も存在します。
本記事では「着物の状態による評価」という視点から、汚れ・虫食い・カビなどのダメージがどの程度価格に影響するのか、減額の目安や高く売るコツ、状態に関係なく買い取ってくれる業者の選び方まで詳しく解説します。実家整理や断捨離を考えている方は必見です。
目次
着物の買取価格は、作家や素材、柄の美しさだけで決まるわけではありません。特に中古着物の場合、**「状態の良さ」**が価格に与える影響は非常に大きく、同じ反物や仕立て物でも、保存状態によって数万円単位で差がつくことがあります。古い着物や実家整理で出てきた着物の中には、一見高価そうに見えてもシミや虫食いがあることで査定額が下がるケースも少なくありません。ここでは、買取査定で重視される状態のポイントを詳しく解説します。
着物の査定では、まず素材・作家・年代・柄の価値が基準となりますが、その上で状態の確認が行われます。
査定士は着物を手に取り、以下の項目を中心に評価します。
このように、状態は査定額の上下に直結する要素です。特に有名作家や高級素材であっても、目立つダメージがある場合は減額されることがあります。
また、査定時には付属品の有無や証紙の確認も行われます。これらが揃っていると、状態の良し悪しが多少あっても、価値の証明としてプラス評価されます。
状態評価が査定で重視される理由は、市場での売れやすさに直結するためです。
購入者側は、着物をそのまま着用したい、またはコレクションとして保存したいと考えています。そのため、シミや虫食いのある着物は、修繕やクリーニングに手間がかかる分、需要が下がり価格が低くなるのです。
さらに、着物は生地がデリケートであるため、少しの汚れや虫食いでも広がるリスクがあります。特に絹素材は、湿気や温度変化に弱く、カビや黄変の進行が早いため、査定士は状態を非常に慎重に見ます。
査定額に影響するダメージは軽度から重度までさまざまであり、軽いシミであれば数千円の減額で済むこともありますが、大きな穴や全体的な汚れの場合は、買取不可や大幅減額となることもあります。
着物の保存状態は、そのまま市場価値に直結します。たとえば、桐箱に入れ、湿気の少ない場所で保管された着物は、数十年経っても美しい状態を保つことができます。逆に押入れに直置きしていた場合や、湿度の高い場所で保管されていた着物は、シミやカビ、虫食いが発生しやすくなります。
市場では「見た目の美しさ」や「使用可能かどうか」が重要視されるため、保存状態が良いほど高評価となります。また、保存状態の良い着物は、リメイクや販売用途にも使いやすいため、需要が高く、査定額も上がる傾向にあります。
シミや汚れは、着物の評価に直結する最も一般的なマイナス要素です。特に白や淡い色の着物では目立ちやすく、シミの種類や範囲によって減額幅も異なります。
着物の表地にシミがある場合、査定額は大きく下がることがあります。
特に結婚式や茶会などで着用する予定の着物は、見た目の印象が重要視されるため、表地のシミは大きな減額要因となります。
裏地や八掛は、着用時に直接見えない部分ですが、査定では必ずチェックされます。
裏地や八掛は、特に古い着物や高級着物で問題となりやすいため、保管状態の良し悪しが反映されやすいポイントです。
虫食いや虫による穴は、着物の価値に直接影響します。小さな穴であれば、補修やリメイクで対応可能な場合もありますが、複数箇所に穴がある場合や、広範囲に広がっている場合は査定額が大幅に下がります。
特に、絹素材の着物は虫に食われやすく、穴の修復には高い技術と費用がかかるため、査定士はリスクを考慮して減額します。
また、虫食いは見えない部分にも広がっている可能性があるため、見た目以上にマイナス評価になることもあります。
カビや異臭は、保存状態の悪さを示す明確なサインです。
また、カビや異臭は、他の着物への影響リスクとしても考慮されるため、業者によっては取り扱いを断られることもあります。
簡易的な陰干しやクリーニングで改善できるケースもありますが、完全に取り除けない場合は査定額が大幅に下がることを理解しておく必要があります。
長期間日の当たる場所で保管されていた着物は、色褪せや変色が起こることがあります。
色の退色や変色は、シミやカビと同じく査定額にマイナス影響を与えますが、部分的な変色の場合は減額幅が限定的で済むこともあります。
査定士は、着物全体のバランスと保存状態を見ながら評価を行い、色あせの程度によって細かく減額額を判断します。
着物の状態による減額幅は、汚れや虫食い、カビの程度によって大きく異なります。ここでは一般的な目安を示しますが、作家や素材、年代によっても変動するため参考として考えてください。
小さなシミや部分的な汚れは、クリーニングや修復で改善可能な場合が多く、減額は数千円〜1万円程度が目安です。淡色や白い裏地、裾部分の小さな汚れなどは軽度に分類されます。
シミが広範囲にある場合や、色あせ・変色が目立つ場合は、査定額は数万円単位で減額されることがあります。特に、茶会や結婚式などフォーマルな場で使用される訪問着や留袖は、見た目の印象が大きく評価に影響するため、注意が必要です。
穴や裂けが複数ある場合、査定額は大幅減額〜買取不可となることがあります。絹の高級着物は特に補修が難しく費用がかかるため、リスクを考慮して査定額が下がります。
カビや異臭は、状態として最もマイナス評価につながります。陰干しやクリーニングである程度改善できる場合もありますが、完全に取り除けない場合は買取不可となることもあるため、保存方法や事前のケアが重要です。
状態が悪くても、価値のある着物は存在します。例えば以下のようなケースです。
作家物や西陣織、加賀友禅、大島紬など、希少価値が高い着物は、多少の汚れやシミがあっても買取可能です。価値の根拠が明確であるため、状態よりも作家や産地の評価が優先されます。
珍しい柄や限定生産の反物は、リメイク需要やコレクター需要があるため、穴やシミがあっても需要があるケースがあります。着物の市場では、状態よりも希少性が評価される場合もあります。
着物の状態が悪くても、リメイク用や素材としての需要があります。たとえば小物作りやパッチワーク、洋服やバッグへの加工など、完全な状態を必要としない用途では買取対象になります。
状態が悪い着物でも、工夫次第で査定額を上げることは可能です。
着物の状態が悪くても、買い取ってくれる業者を選ぶことで、諦めずに売却できる可能性があります。ここでは、業者選びのポイントを解説します。
着物を専門に取り扱う業者は、シミや虫食い、カビのある着物でもリメイクや素材としての需要を見越して買取を行います。一般的なリサイクルショップでは査定不可となるような状態でも、専門業者なら適正な価格で買い取ってもらえるケースがあります。
特に以下のような業者が信頼されやすいです。
状態が悪い着物を売る場合、出張査定と宅配査定のどちらかを選ぶことになります。
どちらの方法でも、査定前に業者の買取実績や口コミを確認することが重要です。
多くの業者では、着物の状態に関わらず無料で査定を行ってくれます。事前に複数業者で査定を比較することで、状態が悪い着物でも最も高く買い取ってくれる業者を見つけることが可能です。
査定依頼時には以下を準備しておくとスムーズです。
これにより、査定士が状態を正しく判断し、適正な評価を受けやすくなります。
着物の買取価格は、作家や素材だけでなく、状態が大きく影響します。シミや汚れ、虫食い、カビ、色あせなどの状態は査定額を下げる要因となりますが、以下のポイントを押さえることで、状態が悪くても賢く売却できます。
状態が悪い着物でも、ポイントを押さえれば捨てずに価値を生かすことができます。実家整理や断捨離で出てきた着物を、少しでも高く安心して売却するために、今回ご紹介した情報を参考にしてみてください。